私の花図鑑          花の里日記  2010.2.16   124

         火曜日 (曇り)   梅の事

 昨日今日と曇り空。
春が近づいている証拠だ。
昨日はようやく梅見に出かけた。
1月もぼつぼつと早咲きの梅の花を見ていてたが、本格的な開花を私は心待ちにしていた。
なぜってそれは春の始まりを思わせるし香りが素晴らしいからである。
近くの里山の奥にそのめざす梅園がある。
もう回りの田んぼは下草が青く芽生えており所々に菜の花が黄色く咲いている。
民家は散らばって立っており、それぞれ庭はきちんと手入れされて気持ちが良い。

そんなのどかな農道を上がって行くと、その梅園には薄
ピンクの梅が満ちて咲き誇っていた。
ほとんど白の花もあるし、ピンク色もあり色幅があって
面白い。
開きかけの木もあるし散り始めた木もある。
何組か鑑賞に訪れた人たちに混じり梅園を一周して
写真を写したり香りを聞いて、春の訪れを知らせて
くれたその花を満喫した。

 私は最近民家の整備をしているが、そこにも梅園の
跡がある。
臥龍梅と言い幹が地を這う
農家には必ずといって梅の木を植えてあるのが普通である。
そこの梅の木たちはもう古い大木で切り倒されて、あとは竹が繁茂して藪となっていた。
梅の木は切られて何年もたつのに小さな枝でも手では折れない。
また鋸で切るのにも硬くてなかなかだ。
おまけに枝にはトゲがあり手入れには難儀した。
私の事務所の庭に以前持ち帰った鑑賞済みの梅の実を投げておいた事がある。
それが生えて6年位たつと数メートルの木に成長し今年はわずかではあるが白い
花を咲かせた。
いわゆる実生(みしょう)の木である。
そこには数十羽の雀が毎日遊びに来て、硝子越しに私の疲れた眼を楽しませてくれる。
同じように種を捨てたピラカンサスも生えておりこれにもトゲがあり赤い実が鈴成る。
この茂ったトゲのある2本の木の中にいると害鳥に襲われないで安心なのだろうと思う。
カラスやひよ鳥やモズもここには飛んでは来ない。
飛んできてもトゲに刺されるだけだ。
おまけに沢山なったピラカンサスの赤い実や梅の蕾を遊びながらついばむのだ。
 
 人間が好き好んで植える果樹にトゲがあるのも不思議な特徴だ。
ユズの木にも鋭いトゲがあり靴の下から足を刺された痛い記憶がある。
ミカンやグミの仲間にもトゲが多い。
美味しい果樹は自身の木を守る為にあえてトゲを備えたのだろうと思ったのだった。
そういえば美しい薔薇にもトゲはある。

 私の母は和歌山出身で梅の産地である。
また子供の頃から梅干しは食べているし、また梅酒は毎年作っている。
実家にも昔から遅く咲く紅梅の大木がありずっと花を楽しませてもらった。
どなたにも梅に関する色々な思い出があるだろうと思う。
それは身近な花木であるし果樹でもある。

   
道のべの  人の絶えたる  廃屋に
        紅梅の花  今盛りなり  
山帰来

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