私の花図鑑    花の里日記  2007.8.4   bW0

           土曜日   無の世界と美の世界

 無明の空の世界。
私は意識も無く暖かて無限の世界にいた。
その無の意識に中に割り込んできた優しい合唱がある。
それはまるで永遠の彼方から湧き上ってくる音楽と思えた。
それは次第に明確なリズムとハーモニーを奏でてきた。
まるで私は天上の国に遊んでいるようで安らかである。
だんだんはっきりしてきた意識の中にそれはヒグラシの朝の合唱だとわかった時、
初めて山の家に自分がいる事を思い出していた。

 台風が過ぎた翌日の朝のこと。
起き出して室内の気温を見たら24度だ。
外は21度位。
冷たい水をごくりと飲む。
気持ちが良いのでまだ明けたばかりの外に出てみた。
朝もやである。
梅雨明け早々の台風襲来だったので空気にまで湿気が多い。
遠くの川からごうごうと濁流の音が響き聞こえている。
地面には強い台風の風に負けたのか、ほおの木の大きな葉が散らばって落ちている。
シュウカイドウの花はもう蕾を着けている。
空はこの夏の熱気をはらんだように青さを白っぽくして見せている。
隣の耕作をやめた田んぼは野原となって雑草が覆い茂っているが、
犬胡麻のピンクの花が繁茂して花畠のように咲きそろっている。
その中からは時折、けだるいようにキリギリス が鳴いている。
庭の花は初夏の花が名残り惜しそうにいくつかは咲き残り、
また夏の花は今が潮時とばかりに万艦飾のように咲き誇っている。
明快な白は角とらのお。白く大きなむくげの木の花。
朱色はクロコスミア。
黄色に黒目はルドベッキア。ブラックアイスーザンとアメリカでは呼ぶらしい。
つぶらな黒い瞳だ。
灰ピンクの大きなボタンのエキナセア。ハーブの一種だ。
はっきりした黄色はコレオプシス。切花にも使える。
濃いピンクと赤紫に咲く虹色の花は花魁草。甘い香りをさせていてこの庭の夏の主役。
それに桔梗の青と白。河原撫子の薄ピンク。
すらりと伸びた緑の茎に咲く 6弁のきすげの薄オレンジ。
濃い青のブルーサルビア。耐寒性がある。
また白やピンクや赤色のノコギリ草他色々が入り混じって競い合うように咲いている。
道の先の草原には悪なすびの白い花が花壇に植えこまれたように集団で咲き、おみなえしの黄色い花やボルトニアの薄青の花壇がある。
また臭牡丹の艶やかな集団花も見られて楽しい。
陽が登れば立て羽蝶や黒揚羽蝶たちが集まって飛び回り、さぞ賑やかになることだろう。
私の今年の夏はいつたいどうなることやら。
どうせなら華やかに過ごしたいけど。


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