私の花図鑑          花の里日記  2018.3.2   348


              金曜日  (晴れ)  野中の一軒家

 今日は朝から快晴で暖かくまるで風も吹かない。
一昨日の深夜に吹いた台風並みの風とは大違いである。
それではと早速支度をして早めに周防大島の別荘地の整備に出かけた。
それでも高速道路を使わなかったので着いたのは昼前。

 車の中で食事をして南の道周りの山の斜面を綺麗に見えるようにしていた。
横に長く伸び茂った枝や幹に絡みついたツタ等を切って見通しを良くした。
そうすると奥まで見上げられるようになり眺めてもなにか落ち着くのである。
丘の頂上の空も木々の隙間から見えるようになったのである。
それから道傍で小さい焚火をしながら、ブロワーで道の落ち葉や小石を吹き飛ばしていた。
これでようやくに町道の清掃が完了したのだ。
五時近くになりそろそろ作業の道具を車に積み込む支度をしていると近くの人が話しかけて呉れた。
道を綺麗にしていたので気になったのであろう。
他県の者が来て色々作業をしていたので、さもあろうと思った。
軽トラックに乗った彼は今からメバルの夜釣りに行くのだと言っていた。
聞くと同年配で元気そうなのだが、彼は前に心筋梗塞をやったと話した。
まあ私も動きすぎると腰がなにか気になる。
お互いにそんな年齢なので無理しないで楽しい事をのんびりしましょうと話したのだ。
彼は畠も蜜柑を作っていると話して呉れた。
若い頃は私の住んでいる広島で仕事をしていたと言っていた。
貴方は暖かい島で自給自足をして魚や野菜や蜜柑が食べられて幸せですねと私は話した。
彼はカゴの中の蜜柑を一つ呉れて夜釣りへと向かって行ったのだ。
それを食べると丁度良い甘味でとても美味しかったのだ。

 それから帰る途中に大島大橋で西をふと見ると柳井方面に太陽が沈んで行く時で見事な日没であった。
海峡の水面を見事に赤い反射光が光っている。
小さなさざ波も見えて綺麗であった。

 それから柳井ビユー道路を経由して田舎道を走っていた。
こちらは昔の民家と田園と低い山々がマッチしてなかなか風情がある。
途中にはお寺や郵便局もあり田舎の生活感もあるのだ。
今は紅梅の花が民家の庭先をピンク色に飾っている。
こんな風景の中、山際にぽっつり一軒家が見えると宮沢賢治の
雨にも負けずの有名な詩に
”野原の松の林の陰の小さな萱ぶきの小屋にいて”とあるのをつい思い出してしまう。
人生の二度目が可能ならば愛する人と二人でのんびり田園の中で自給自足の生活をしてみたいとも思う私。
私が別荘関係の仕事をしているのも、別荘は今の現実とは違う別の世界を経験できるのが面白いのかと思う。

 広島が近くなって国道2号線が東方面の宮島の横を走る時に、今度は大きな満月が宮島の山の上に出て
厳島神社の周りの夜景と前の海が月の反射光で光輝き、2回目の素晴らしい景色であつた。
こんな美しい景色を見たのは人生で初めての経験ではあった。


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