私の花図鑑    花の里日記   2002.3.21  27
           木曜日 春の嵐吹く (山鳥について)


   染井吉野の花もちらほら咲いてきた。朝から強風が吹き雨も降ったが昼過ぎにはやんでしまった。早速吉和村の山の別荘地へ出かけて藪の整理をしていた。春先は見通しがきいて作業がしやすい。落ち葉がいっぱいなので足場も良い。

 久しぶりに山で作業をしているのでのどが渇く。山の別荘地は広いので水を汲みにいくには車で移動しなくてはならない。水場に車で登っていると突然山鳥が目前を横切った。以前から森の中を走り回っているのを目撃しているが今回は完全にはっきり見えた。オスの山鳥で全体に明るいこげ茶色をしており、半円形をした飾り尾羽根の真っ赤な色がすばらしい。時々田舎の家にはこの羽根が飾ってあるが色は褪せておりこんな色ではなかった。生きている動物はとても美しいのだ。山鳥はキジよりひとまわり大きそうであった。そういえば冬焚き火をした跡に砂をかけておいたのだが、そこがすり鉢状にへこんで円形になっていた。あれは彼らが砂浴びをした跡であった。又休んでいると隣の杉林で時々バタバタと音がしていた。だれもいないのに変だがと思っていた。あれは彼らの合図で羽をバタバタやっていたのだ。昔シートンの動物記の同様の話があった。雷鳥か何かだった(彼はドラミングと呼んでいた)。今日も隣の杉林でバタバタパタパタ音をさせている。夏には子供づれを見ていたのでフアミリーが殖えているのは嬉しい限りだ。山は動物たちと共生しなくてはならない。楽しい隣人だ。

  山鳥の句

     
ほろほろと  鳴く山鳥の  声聞けば
       父かとぞ思ふ  母かとぞ思ふ
          行基

 この句を読むといくつになっても父や母、子供時代のことを思い出してくる。
山鳥は淋しい奥山に住んでいる鳥なので、そんな場所で1人いて、この鳥の声を聞いたら、なおさらではある。別れた人を思い出してくる。でも実際この鳥の声を私は聞いてはいない。
  

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