あめつぶ            1989・8・28    私の花図鑑へ戻る

ぼくはいま

元気いっぱいの雨粒だ

生まれたての大粒だ

一気に森へ急降下

小さい奴はひっつけて

どんどんスピード上がってく

落ちたところは朴(ほお)の木の

大きなはっぱの真ん中だ

真夏の日照りで疲れてる

はっぱを散らしてふんわりと

落ちたは黒い土の上

そばで昼寝のひきがえる

こいつはたまらんと石の下

のっそりゆっくり隠れてく

黒いはっぱや太い根の

あいだをすべってくぐり落ち

小さな川の水のなか

小さなあぶくになりました

大きな岩の淵(ふち)のそば

大石小石の瀬の流れ

小さな滝や大きな滝を

落ちてまわって山くだり

やっとこ野原につきました

ようやくやんだ白い雲

光がこぼれてさしました

だいだい黄色のかにさんの

おおきくふったはさみの横を

ゆっくりぼくは流れます

ほんわりぬくい土の土手

咲いた真っ赤なまんじゅしゃげ

みんなで群れて笑ってる

秋もすぐそこ来ています

ぼくの旅は続きます

いつまでいつまで続きます



詩1 あぶく   詩3 草雲雀   詩4 歌1    詩5 雪の歌  詩7 もし
詩8 秋風  詩9 私は夢見る  詩10 内なるもの  詩11盲目
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