私の花図鑑    花の里日記   2004.10.8 57
                 金曜日   栃の実

 10月なのに台風が接近している。
外は雨模様。今年は暑い夏であった。
今朝のニュースで熊が多数、里に出没した話を伝えている。
長雨や台風の影響で山に食べ物が少なくなっている。
里に出て射殺されるのは可哀想ではある。

9月のまだ暑い日だった。山の滝を見物に出かけた。
渓流沿いに歩道があり木々が生い茂ってなんとなく涼しい。
長雨の影響だろうか、流れには清水が溢れている。
道沿いには大きな栃の木が空一杯枝を拡げて蔽っている。
足元を見やると栗に似た実がたくさん散らばって落ちている。
栗などは普通熊や猪などの野生動物が夜のうちに食べてしまうが、栃の実は毒があり食べないようだ。
そんな実だが面白いのでつい拾ってしまう。
山里の住民ももう高齢化して、こんな実も拾いに来なくなったようだ。
ここにも時代の流れが見えてくる。
拾っていると登山者が降りてきて話し掛けてくれる。
もう少し上がると沢山落ちているよ!と彼は言ってくれた。
普段の倍も水が落ちてくるような滝を眺めて、帰りの別の登山道を上がると栃の実が沢山落ちている。
太った実を袋一杯詰め込んで豊かになったような気がする。
小さな幸せというのであろうか。

 持ち帰ったまではいいのだが、食べ方がわから無い。
早速インターネットで探して見る。
懇切丁寧な処理方法を書いてくれたページがあったのでプリントして読んで見た。
こんな時はネットのありがたみと書いてくれた人に感謝の気持ちが湧いてくる。
それには何段階の毒抜き方法が記してあった。
なかでも難題はナラの木の灰を使用する事であった。
もう手でいくつかの実をむいてしまった。
実には青い芽が内包されており硬くて充実しており毒気の香りがする。
しょうがないので剥いた実は食器に入れて水に晒して置いた。
何日か水を取り替えていたが泡のようなものが湧き出して変になったので捨ててしまった。
残りの実がどうなったかと言うと、山の別荘地の谷の部分へ将来大木になるように撒いてきた始末であった。
来年こそは灰を作り、清水で晒して焼いて栃の実せんべいを食べようと思っている。



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