私の花図鑑    花の里日記   2004.12.29 63
                 水曜日   冬の夜

 今石油ストーブが緩やかに燃えている。
深夜の12時も近い時間。
カントリー音楽を聴きながら本を読んでいる。
読み疲れると室内運動をしたり部屋を歩き回る。
ステレオの上の小さな額に入った花の里の写真が目に入った。
もう8年も前にもなろうか。
その写真を写した日は夏の初めの早朝で、いままで空を蔽っていた霧は晴れかかって谷に白くミルクのように漂っていた。
太陽はまだ出ていないけど、明るい空は晴れ渡り、朝の露は一切に開いた草々の花に満ちていた。
空気には湿気があるのに気温が低くて爽やかだった。
一番手前はサルビアの赤い集団。

次は細葉百日草の黄色い小さな花がそれぞれ
大きな株となり幾重にもうねって咲いている。
一番奥には黄花コスモスが立ち上がって
その花壇を取り巻いている。
その先は里の畑や田、散らばった家、
庭先に植えられた杉の何本かが立ち上がっている。
遠くに青い山が立ちはだかり谷あいに白い霧が見えたのだ。


サルビアとリネアリス
隣の畠には百日草がいかにも夏が来たかのように、丸い顔をそろえて上向きに色とりどりに咲いている。向かいの畠ではルドベッキア、ブルーサルビア、ダリア、鶏頭、ペチュニア、ひまわりが咲いている。その中を群れで出現した黒アゲハが花々を巡って舞っている。
いまその写真を見ながらそんな初夏のあの朝を思い出している。
あの時のことはもう写真の中でしか見ることは出来ない。
すぐ時の移ろいを感じてしまうが、また明日は次の新たな美しいものを経験することだろう。
そう思いながらなにかを待っている私である。

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