時   2003・8・15          私の花図鑑へ戻る


時という冷たい雨が
いつまでも私に降り続け
情熱を消しかけていた
しかし今また新しい光がさしてきた
まだこの世界に
生き残っている
まだ生きている

倉庫の隅
捨てられた古いパソコンのよう
古い抜け殻から出られない私
時間の牢獄に
閉じこめられてしまった私
生まれ出た時のように
貴方がいれば
解き放たれる
目を閉じれば
また聞こえてきたよ
あの愛の呪文が
ひとときを過ごそう
この私と

私は生活というフラスコに
閉じこめられたアメーバー
目標もなくガソリンを消費して走り回る
焼けたオイルと排気ガスの匂いがする
終わりのない道を
屈折し反転し
走り回る
命の輝きが消えるまで
それはほんのひととき
それはほんの一生

すべてには終わりがある
愛にも終わりがある
時間という宿命に
負けてしまいそうになる
しかしあの愛の日々は
私から奪えない
光に満ちた日々の
記憶を綴り集わせ
繕って生きていく

かって公正、博愛という
目標があった
しかし生きていると
いつのまにか
すり変わっている
まるで双子の影のように
我欲にすり変わってしまう
人の宿命でも道は正せる
終わりの日までには

人間は生まれた時から自分一人
死ぬのも一人で
変えようがない
しかし暗い宇宙にも小さな星が輝く
寒く凍りついた白い冬も
やがて春には緑の野に花開く
貴方には私
私には貴方がいる




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