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花の里日記 2004.8.17 №53
火曜日 葛の花
相変わらず暑い日が続いている。
雨が降っても蒸し暑い。
仕事の隙を狙って避暑とばかり花の里に向かった。
空は曇っていまにも雨が落ちてきそうだ。
行く山道の崖に生えている葛の花が甘く車の中まで匂ってきた。
湿気を含んだ暖かい空気は濃密だ。
葛は地面を這い、いたるところへ根をおろし、絡み舞い付く。
森や畠を手入れしていると厄介な植物だ。
その茎の繊維が強くてしなやかだ。
牛馬はこの葉を好んで食べる。
根は葛湯になる。
功罪つけがたい植物ではある。
葛は秋の七草にも入っているのに、地味であまり喜こばれない花ではあるが?
他の野草ではいたどりの白い花が目立つ。
この草もいったんはびこると荒れた原野みたいになり冬に枯れた茎が残っていちじるしく見掛けが悪くなる。
でも新芽の茎は食用になるし、夏の暑い日に白い花が咲きこぼれていると妙に美しい。
これも日本の美のうちなのだろう。
花の里では白萩や女郎花、アメリカ菊は花盛りで雨で伸びた緑の野芝と対比して美しい。
夏の蝶たちが集まって飛び回り遊んでいる。
山の木を移植したので森に近い感じが出たのだろう。
野鳥もやってくるようになった。
ここの別荘地は手がけて最初から数えると15年くらいになる。
このくらい経つと土地も落ち着いてくるのだろう。
過ぎる年月の重みを感じる。
灰色の緑のない街との反動だろうか。
なんでもない普通の緑の原野や山を見ると妙に心が落ち着いてくる。
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